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どんな旅人が日本、香川、若葉屋に? アンケート結果

おしごと Owner's Works

どんな旅人が日本、香川、若葉屋にやってきているのか。
まずは、それが個人的に、ずっと気にはなっていたこと。
もうひとつは、私が観光協会の会議などに出る中で、旅人を受け入れる側が果たして、どれぐらい、旅人のことを知っていて、受け入れる側が取っている施策が果たして、的を得ているのだろうか、という疑問を感じていたこと。
そういう理由で、昨年、2019年に宿泊者アンケートを実施しました。

期間:2019年8月4日〜2019年11月17日
方法:アンケート回答フォーム(Google フォーム)のQRコードが印刷された紙を宿泊客に手渡し、スマートフォンなどで任意に回答
言語:日本語、英語、フランス語、繁体字、簡体字、韓国語
お礼:香川県内の産官学連携で研究・開発されている「希少糖含有シロップ」の試供品をプレゼント(松谷化学工業株式会社様より)
回答数:日本60件、欧米豪29件、東アジア20件(ただし在留外国人は回答から除外)

まずは注意点です。
意図したわけではありませんが、アンケート実施期間には瀬戸内国際芸術祭2019の夏会期と秋会期を含んでいます。
かなりの集客力がある特別なイベントの開催期間中なので、「いつもの香川県」ではありません。
サンプル数は圧倒的に少ないです。
若葉屋というゲストハウスの宿泊客がアンケートの対象です。
香川県を訪れる旅行者のうち、大半がホテルに宿泊していることを鑑みれば、ゲストハウスに宿泊したひとたちの回答は、旅行者の平均的な回答ではない可能性は、多分にあります。
例えば、ゲストハウスの宿泊者のほうが、ホテルの宿泊者よりも年齢層が若いとか、旅に慣れているとかあるでしょうし、旅に求めるものも、異なると思われます。
アンケート調査の素人が作成したアンケートですので、設問や選択肢の数、順序、量、内容が不適切な場合もあり、得られた結果の正確性は保証できません。
このブログで公開しているアンケート結果は、要約したものです。

1. 来日は何回目ですか?(訪日客のみ)

欧米豪の半数以上は初訪日であるのに対して、東アジアの大半がリピーターであり、さらに、訪日3回以上のヘビーリピーターがとても多い。
欧米豪も3分の1が訪日リピーターというのは意外。

2. 香川を訪れるのは何回目ですか?(日帰り含む。通過は除く)



欧米豪はやはり初香川が多かったが、日本人と東アジアの香川リピート率は思ったよりも高かった。
やはり、瀬戸芸効果か。

3. 今回、なぜ、香川へ行こうと思いましたか?(複数回答可)



欧米豪からは「なんとなく」、東アジアからは「航空券が安いから」が上位に入るかと予想していたが、そんなことはなかった。
日本、欧米豪、東アジアとも、明確な「行きたいところ」があって、香川に来ているようだ。
日本人は食べもの(うどん)への期待が高いが、訪日客、特に欧米豪にとっては食べものへの期待が非常に低い。
一方、訪日客にとっては「都会ではない」が香川の魅力となっている。
欧米豪は旅行期間が長いこともあって、香川だけでなく、松山の道後温泉や祖谷のかずら橋なども含めた、「四国周遊」をしている。

4. 何を求めて香川県へ来ましたか?(複数回答可)



日本人にとってはやはり、讃岐うどんが欠かせない。
欧米豪にとっては、自然。
瀬戸芸を知らずに来ていた人も多い。
一方、東アジアは瀬戸芸目的での香川訪問が多かった。
建築が上位に入ったのも、地中美術館(直島)や豊島美術館に行きたい人が多かったから。
訪日客にとって、自然と現代アートははずせない。

5. 香川訪問をどのぐらい前に計画しましたか?



ゲストハウスの宿泊客では、「香川行きを当日に決めた」がちらほらあるかと予想していたが、日本、欧米豪、東アジアとも当日はゼロ。
東アジアは1ヶ月以上前が3分の2を占める。
欧米豪は3日〜1周間が32%を占め、また、2ヶ月以上前も40%を占め、両極端。
若葉屋の宿泊予約のリードタイムと同じ傾向。

6. 自宅を出発した時点での、宿泊施設の予約状況についてお答えください。



案外、欧米豪も、旅前の予約が多い。

7. 自宅を出発した時点での、飛行機、新幹線、高速バスの予約状況についてお答えください。



東アジアはがっつり予約をしてくる。
日本人は自家用車やレンタカー利用があり、長距離の公共交通機関「利用なし」が多い。

8. 香川での滞在中、夜間にもっと楽しみたいことがありますか?(複数回答可)



日中のチェックイン直後に回答してくれた宿泊客も多く、「満足/まだわからない」を選択している。
香川でのナイトタイムエコノミーとして、不足しているものを問いたかったが、単に「これから居酒屋へ行きたい」というひとが「居酒屋」を選択してしまうなど、設問を誤った感がある。
回答で特徴的なのが東アジアで、日本、欧米豪で上位に入る「居酒屋」が、下位にランクイン。
東アジアからの訪日客にとっては、夜は飲み食いして寝るだけでなく、夜も観光をして楽しみたいという意志がかなり強い。
また、東アジアでも「買い物」が下位にランクインしている。
確かに、若葉屋でもオープンした頃(2014年)に比べて、買い物ニーズは減っていると実感する。

9. 日本を旅行するにあたって、役に立つ情報源は何ですか?(訪日客のみ。複数回答可)


どちらも「地図アプリ」(主にGoogle Map)が旅の情報源としては必須。
「宿のスタッフ」が2位につけているが、若葉屋ではチェックイン時に積極的に情報提供をし、その際にアンケートの依頼をしているため、それが影響しているようにも思う。
情報源は今や、「紙媒体<インターネット」と捉えられがちではあるが、実際にはパンフレットや本(ガイドブックなど)も役立っているようで、私も同感。
「様々なサイト」が思ったよりも少ないが、これはアンケートでの選択肢の最後の方に挙げていたので、実際よりも少なく出た可能性がある。

10. 日本を旅行中のインターネット接続状況をお聞きします。(訪日客のみ。複数回答可)

  • 日本で契約した携帯電話を利用している(レンタル含む)
  • 日本のSIMカードやPocket Wi-Fiを使って、接続している
  • 宿泊施設のWi-Fiを使って、接続している
  • 飲食店、コンビニ、観光地、駅、空港など、公共スペースのWi-Fiを使って、接続している
  • Google MapsをGPSとして利用している(インターネット接続がなくても、利用できる)
  • 宿泊施設やインターネットカフェなどのパソコンを利用している
  • 旅行にスマートフォン、パソコン、タブレットを持参していない



宿のWi-Fiを使う人はかなり多く、今や欠かせない。
日本のSIMカードやPocket Wi-Fiを利用し、常にインターネットが使える状態の訪日客も多く、若葉屋開業以来、どんどん増えている印象。
日本のSIMカードをよく利用する東アジアからの訪日客は、公共Wi-Fiスポットをあまり利用していない。
そもそも、インターネットを多用する旅行者にとっては、公共Wi-Fiスポットでは事足らず、日本のSIMカードを利用している。
公共Wi-Fiスポットは、「ところどころでインターネットが使えればいい」ぐらいの旅行者に利用されているのではないだろうか。
そうだとすれば、公共Wi-Fiスポットの増設は本当に必要なのだろうか?

11. 日本を旅行中のインターネット接続状況に、満足していますか?(訪日客のみ)


概ね、満足なようで、その他は「やや不満もあるが、改善は不要」。
「要改善」とまでするひとは、どちらもゼロだった。
訪日客の「やや不満」をすべて汲み取って、改善のためにコストを掛けることが、本当に求められているのだろうか?

12. 日本を旅行中に食事、買い物、宿泊をする際、キャッシュレス決済が可能かどうかは、あなたのお店選びに影響しますか?



東アジアよりも欧米豪の方が、キャッシュレス決済を好むのが、意外。
旅行期間が長く、消費金額も多くなるからなのかもしれない。
日本と欧米豪では、全体の2割ぐらいが、キャッシュレス決済の可否で、店を選ぶよう。

13. 日本人との会話や、表記を読む際に役立っているものは何ですか? (訪日客のみ。複数回答可)

  • 翻訳アプリ
  • 会話帳、ボディーランゲージ、筆談など
  • 多言語表記
  • 漢字
  • 記号、写真、イラスト
  • 外国語が話せる日本人
  • 外国語が話せないけど、親切な日本人



欧米豪は東アジアに比べて、とにかく、日本人と話してみているのではないだろうか。
東アジアはいきなり、話そうとする前に、写真やイラストで理解しようとしたり、翻訳アプリを使う傾向が強い。
意外なのは、どちらも「多言語表記」が下位に入ったこと。
多言語表記が不足しているからなのか、あっても、役に立っていないのかはわからない。
そして、期待していた「外国語が話せないけど、親切な日本人」がどちらも、上位に入った。
これを日本人に知ってほしい。
日本人は「外国語が話せなければ、外国人とはコミュニケーションが取れない」と絶望しているが、実は外国人はそうは思っていない。

14. 目の前によく似た、2軒の和食レストランがあります。店先のメニューを見ると、価格帯も同じです。ただ、一方のレストランは、日本語表記のみで、日本人の客が多く、一方のレストランは、多言語表記で、外国人客が多いようです。あなたはどちらのレストランに入りたいですか?(日本語のわからない訪日客のみ)


日本語のわからないひとですら、過半数が「日本語のみ」の店を希望した。
今般のインバウンド業界では「多言語対応」が声高に叫ばれている。
しかし一部の訪日客にとっては、コミュニケーションの取りやすさを捨ててでも、「本物の日本」に入り込みたいという願望がある。
ただ、ちょっと設問が意図的過ぎたかな。

15. 日本を旅行中に、ことばが通じないことで不快な思いをすることがありますか?(日本語のわからない訪日客のみ)


「通じなくても、不快ではない」が過半数。
この事実は、海外旅行に慣れていない日本人にとっては、イメージできないと思うが、本当にそう思う。
一方、「不快」と回答したひとに、その場面を問うた回答は以下のとおり。

  • 交通機関で
  • 買い物で
  • 食事で
  • 宿泊施設で
  • 道に迷ったとき
  • パチンコの操作方法がわからなかったとき
  • 日本文化が理解できなかったとき

16. どうやって若葉屋を知りましたか?(複数回答可)



日本、欧米豪、東アジアとも、「宿泊予約サイト」が上位につける中、目を引くのが欧米豪の「ロンプラ」。
世界トップシェアのガイドブックシリーズ、Lonely Planetのこと。
ロンプラ日本版の高松の宿泊施設として若葉屋が掲載されており、その効果は絶大なよう。
なお、若葉屋でロンプラに掲載依頼をしたわけでもなく、むしろ、知らない間に掲載されていた。
ありがとうございます。

17. どのぐらいゲストハウス(ホステル、民泊含む)を利用しますか?



訪日客は「ホテル・旅館とゲストハウスを半々ぐらいで利用する」と「ほぼゲストハウスを利用する」で100%。
ゲストハウスユーザーが若葉屋に宿泊している。
一方、日本人客は27%が初ゲストハウスとして若葉屋に宿泊。
ゲストハウスユーザーは65%だった。
「ゲストハウスってどんなところなんだろう…」と不安ながらも、若葉屋に宿泊してくれた日本人客に、若葉屋のみならず、ゲストハウスのファンとなってもらえるよう、がんばります。

18. どうして若葉屋に泊まってみようと思いましたか?(複数回答可)



日本、欧米豪、東アジアとも、やはり「クチコミ」が3位以内に入った。
クチコミはとても大事。
日本人客は「安いから」が2位に入った一方、訪日客では「和風・木造建築」が好評なよう。
確かに、高松中心部では、和風・木造建築のゲストハウスはあまりない。
日本人客は車やバイクの利用が多く、「駐車場/駐輪場があるから」が上位につけている。
同じく、高松中心部では駐車場/駐輪場が敷地内にあって、無料で利用できる宿泊施設は少ない。
若葉屋はキャッシュレス決済に対応しているが、集客にはあまり貢献していなさそう。
欧米豪は「中心部に近い」がさほど、上位には入っていない。
若葉屋を選んだ欧米豪は、立地よりもむしろ、若葉屋の個性そのもので選んでくれているよう。
(実際、若葉屋は高松市内のゲストハウスの中では、中心部から離れている。)

意外だったのは、日本、欧米豪、東アジアとも、「オーナーがおもしろそう」が上位に入っていること。
欧米豪では「家族経営だから」も上位に入っている。
若葉屋がオープンした頃までは、日本各地のゲストハウスは個人・家族経営で小規模の宿が多かったが、最近は企業によって経営されていたり、スタッフの数も宿泊客の数も中・大規模だったりするところが、随分と増えてきている。
若葉屋のような、顔の見える小さな宿は宿で、それを魅力と感じてくれているひとが一定数、居るのだと実感した。
若葉屋の公式サイトでは、サイト開設当初から、私の自己紹介を載せている。
私は、「ゲストハウスのオーナーのことなんか、興味ないだろう」と思っていたが、妻の提案で、自己紹介を載せることにした。
私の予想をよそに、「このゲストハウスはどんなひとが営んでいるのだろうか」ということが、ゲストハウスを選ぶ際の関心事になっているようだ。

19. あなたが今まで旅したところで、友人に勧めたいところはどこですか?(回答をそのまま貼り付けます)

  • 石垣島
  • 石垣島
  • 丹波篠山
  • 直島
  • ニューヨーク
  • イタリア、ハワイ、北海道、沖縄、淡路島、香川
  • 直島
  • 熊本県
  • 出雲大社
  • 日ノ御埼
  • 瀬戸内
  • 高松
  • 富士山登山
  • 長野
  • 北海道
  • 北海道
  • 長野県阿智村
  • 香川
  • 福岡
  • 鎌倉
  • 瀬戸内
  • 五所川原たちねぷた
  • 父島
  • 日本
  • 青森県(弘前市など
  • 北海道
  • 倉敷
  • 伊豆諸島
  • 台湾
  • バリ島
  • 横浜
  • 北海道
  • 高知
  • ニュージーランド
  • 益田市
  • 香川県(高松市、小豆島など離島)
  • 紀伊半島
  • 八重山諸島
  • ニュージーランド
  • 金沢
  • 青ヶ島
  • 北海道
  • 北海道
  • モロッコ
  • 京都
  • 福岡
  • 熊本の黒川温泉
  • 北海道
  • 神戸
  • 富山
  • 沖縄
  • モロッコ
  • 澎湖 Peng hu ポンフー
  • 栗林公園
  • 台湾
  • ラオス
  • オーストリアのリンツ
  • 高松市
  • 四万十川
  • 群馬
  • 草津
  • Amsterdam
  • California
  • Makigaya
  • Kobe Waterfalls near the Trainstation
  • Happy raft
  • Kyoto
  • Tokyo
  • Tokyo and arounds
  • Indonesia
  • Hiking in Kyrgyzstan
  • Yakushima
  • Shimenami Keido
  • Kumano Kodo- quiet, full of nature, quaint minshuku to rest at
  • Yosemite
  • Sicily (Italy). It is very beautiful and has a great atmosphere and food.
  • Koya-san
  • Koyasan
  • Nihonkai side of Hokkaido
  • Kyoto
  • Le Japon, l’Islande et la Birmanie
  • Chine, japon, islande
  • Trinidad (Cuba)
  • Naoshima
  • Kyoto/Osaka
  • Cambodge, Laos
  • Japon
  • Naoshima et Teshima
  • Scotland
  • Park city
  • Ishigaki
  • 瀨戶內海
  • 小豆島
  • 豐島
  • Germany
  • 瀨戶內海
  • 高山
  • Peru
  • 日本
  • 金沢
  • 北海道
  • 瀨戶內海上所有的小島
  • 橫濱
  • 日本、香港、臺灣
  • オーストラリア
  • 栗林公园
  • 日本
  • 日本
  • 시코쿠

20. どうして、そこを勧めますか?(複数回答可)



日本、欧米豪、東アジアとも、「自然」、「街なみ・建築物」、「歴史・文化」、「食事」、「非日常感」などが上位に入っている。
私が注目するのは、「非日常感」。
居住地と旅先とのギャップがなければ、旅にならない。
ことばや食べものも、旅行者に合わせすぎてしまうと、「非日常感」が薄れていく。
有名観光地やドラッグストアなどで簡体字が溢れているのを見て、一部の中国人観光客は引いているらしい、という話も聞く。

もうひとつ興味深いのが、訪日客では「地元住民」が上位に入っていること。
確かに、私も昨年、南インドを旅したが、それは「南インドは、人がいいから」という評判を聞いて行くことに決めたし、実際に旅してみて、本当に人が良かったから、また行きたいと思う。
旅人を受け入れる側は気づいていないことが多いが、実は自分たち、「地元のひと」が旅の思い出を作っている。

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