ニオロ県からほぼ真西、大西洋沿岸に程近いソコン市に行ってきました。
大西洋から内陸側へはサルーム・デルタという
入り江になっていて、マングローブが群生しています。
そんなこともあって、自然環境保全を含む各国の開発
援助プロジェクトがよく入っている地域でもあります。
そんなプロジェクトの影響もあり、この地域では養蜂をやっている村も
あって、ソコン在住の隊員の案内でそこを見学させてもらったわけです。
まず、上の写真はNdoumboundj(ンドゥンブンジ)村の養蜂場。
(撮影の後、ソコンの隊員と村人が蜂に襲われ、刺された。)
養蜂箱はセメントでできていて、一段。
蓋と、中の巣枠は木製。
巣枠はラングストロース式(以下、ラ式)。
外国の団体がお金を出して行われた研修で、この養蜂箱の
作り方を学んだ村人が作って設置し、使っているようです。
しかし、セメントだと中に湿気がこもったり、木製よりは
作りにくく、修理もしにくい気がしますが。
なぜ、セメントなんだろうか。
近くの村人5人でグループを作って、蜂蜜の売上金の
一部を資材の修繕などに充てているとのことです。
そうそう、俺もそういう仕組みをつくれたらいいなと思っているところですよ。
しかし、メディナサバ郡内での養蜂と、ソコン周辺での養蜂には大きな違いが。
それは、売価。
Ndoumboundi村では1kg(≒700ml)を3,000フランで売っているとのこと。
メディナサバでは1Lで1,500~1,750フラン。約2倍の差があります。
Ndoumboundjの養蜂をしている男性は「高品質だから高く売れる」と
言ってはいるものの、遠心分離機はないので、手搾り
しているはずなので不純物もそれなりに入るはず。
マングローブ蜜だけ、アカシア蜜だけ、という採蜜も
していないので、いろんな蜜が混ざっています。
容器も瓶やペットボトルを再利用
したものなので、さほど見栄えもしません。
なぜ、高く売れるのか。
それは、ここが観光地だから。
近くのToubakouta村は落ち着いた村ですが、そこには立派な
ホテルや、こじゃれたレストラン、土産物屋などがあり、観光客は
マングローブ・クルージングや釣りを楽しむことなどができます。
で、ここを訪れる国内外の観光客が買っていくようです。
聞いた限りでは、地元の村人が行くような市場では高く売れ
ないので、そっちへは出さずに、都会であるソコン市の
お店で売ったり、村の自宅で売っているようです。
俺が前任者から引き継いだ養蜂箱はラ式と、ケニアン・トップ・バー
・ハイブ式(KTBH式)で、俺も、前任者も実際に採蜜して分かったことは、
遠心分離機を使わず、蜂の巣をごっそり取る方法で採蜜するのならば、
構造が単純なKTBH式の方が作業が楽ということ。
巣枠を作るのも楽。
木の棒を並べるだけなので、壊れることもほとんどありません。
(今度、写真を撮ってみます。)
このKTBHをNdoumboundjの村人に紹介すると、
興味津々の様子で、今度、作ってみたいとのことなので、
あとはソコン在住の隊員にお任せしました。
次に訪れたのはSangako(サンガコ)村。
ここは日本のJICAのプロジェクトが大々的に養蜂を支援した村です。
これは、ステンレス製の高価そうな蜂蜜貯蔵タンクで、5基ぐらいありました。
下のが、プラスチック製の容器で、既に蜂蜜が入って、売れる状態です。
この容器も援助で支給されたもので、これがなくなったらやっぱり、
空きペットボトルとかで売るしかないんだろうなと思いましたが、
この容器、超大量に支給されていて、あと数年は持ちそうです。
これは、手回し式の遠心分離機で、2基あります。
入れてあるのがラ式の巣枠で、実際には、蜂蜜の詰まった巣の入った
ものをこうやってセットして回すと、蜂の巣を壊すことなく、また、
蜂の子などをつぶして不純物が入ってしまうことなく、採蜜できます。
遠心分離機が壊れたらどうするのかと村人に聞くと、「今は1基
しか使っていないから、それが壊れたらもう1基の方を使う」とのこと。
2基目がつぶれたら、終わりかなと思いました。
Sangako村の養蜂グループは50人ぐらい登録されているらしい
ですが、実際にそんなにも多勢が養蜂に関わっているかは謎です。
一連の機材は、同じく、プロジェクトで支給された建物の中に
保管されていますが、管理されている感じはあまりしませんでした。
Sangako村の蜂蜜は売り先に、蜂蜜業者が入っていました。
蜂の巣を壊さずに採蜜できることや、そもそも、蜜源となる樹木が多い
ということもあって、巣箱1基あたり、年3回も採蜜できるようです。
メディナサバでは年1~2回が限界でしょう。
自然条件、設備環境共に異なる養蜂場を見学できたし、
養蜂をしている隊員と意見、情報、データ、経験を交換
できて、かなり有意義な任地訪問でした。
これからは、
1.資材等を他の村人と管理、共有、修繕するための組織化
2.少しでも採蜜の回数を上げれるように、
字よりも、写真や絵を多く使った教材作り
をやってみたいと思います。
1.は今回、見学した村を参考に。
2.は蜂と戦いながら、写真撮影に挑もうと思います。
どれが切り取っていい巣か、巣のどのあたりにナイフを入れるべきか、
どれが残しておかなければいけない女王蜂か、防護服はどう着れば
蜂が入ってきにくいか、どんなところに養蜂箱を設置すれば作業が
しやすいかなど、理屈よりも、作業のいろはが伝わる教材がいいな、と。