日本についての授業

私の職種は、「村落開発普及員」というものなのですが、これの元に
なったのが、戦後日本の農村で、それまで「普通」とされてきた日常を
少しでも良くしていこうと活動した公務員、「生活改良普及員」です。
その生活改善の歴史をまとめたVTRをJICAが制作
していて、そのフランス語版を、セネガルの高校で
上映した同期隊員に、ひょこひょことついて行きました。


上映前日、高校で先生と少し、打ち合わせ。
セネガルの高校生が日本について、どういうことを勉強
しているのかを知りたかったので、教科書を見せてもらいました。
左から、サムライ、そのサムライが居た城、明治天皇です。
封建的な江戸時代、黒船来航、明治維新、日清・日露戦争、
富国強兵、財閥、製糸産業、第二次世界大戦、天皇崇拝、原爆投下
などが数ページに渡って詳しく解説されています。
この歴史教科書は、フランスで製本されていますが、
明らかに、アフリカについての記載が多いので、
仏語圏アフリカ諸国向けのものと思われます。
その教科書に、日本についてこんなにも詳しく書かれているとは。

別の教科書は、お手製な感じで、その高校の
先生が独自に編纂したもののようでした。
そこでも、日本に関する記述があって、冒頭、「国土の大半が
山林、地下資源は乏しく、自然災害にもたびたび襲われる
日本は、いかにして世界有数の経済大国になったか」
といった、問題提起がされていました。
これまた、興味深いものです。

にもかかわらず、この高校の学生たちは、教室の黒板に、
まるで、大航海時代の地図のような、かなりデフォルメ
された世界地図を描き、「日本はここだ!」と、ロシアの
東、シベリアにJaponと書いていまいた。
自信満々に…。
残念。

日本の歴史の授業に来ているはずなのに、ある学生は
俺たちに向かって「日本人?中国人?」と聞いてきたり。

日本では全生徒に教科書が配られますが、セネガルでは、
教科書は図書館に1冊しかなく、それを呼んだ先生が
授業で解説をする、というスタイルのようです。
日本はまだまだ、知られていません。

ビデオ上映には、プロジェクターを使用、の予定。
電源コードが届かない、延長コードの接触が悪い、音量が
小さいなどの問題をどんどん解決していったものの、
最終的には、プロジェクターが高温になりすぎて
(気温40度以上)すぐに自動OFFになるため、断念。
先生のノートパソコンをみんなで見るということになりました。

そんな授業の始まりに、先生の呼びかけで、日本の
震災被災者に向けての黙祷が行われました。

ビデオを見たあと、先生が解説を入れ、
何人かの生徒が質問をしていました。
しかし、高校ではフランス語で授業を
するため、その内容がさっぱり分からず。
こういうことがあるたびに、「フラ語を勉強せねば」と思うわけです。

授業の後、個別に、ある学生に「さっきの
質問は何だったの?」と聞きに行きました。
質問内容は、「原爆で被爆したお母さんの
子どもにはどういう影響が出るのか?」というもの。
「癌を発症しやすくなるなどの原爆症がある」と答えました。

普段の自分の活動とはまったく違う分野。
いい刺激になった気がします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です