CBO = Community Based Organization
「住民組織」と訳されることが多い。近年の開発援助においては、受益者個人と援助実施組織とをつなぐ中間組織が重要視されている。それら中間組織のうち、受益者の居住地域の外部から働きかける非営利組織が、狭い意味のNGO、受益者の居住地域内部でローカルに機能する非営利組織がCBOと呼ばれる。
黒崎卓、山形辰史[2003]、『開発経済学-貧困削減へのアプローチ』、日本評論社、p125。
これは、俺が大学時代に履修した講義の教科書で、
こっちに持ってきている本に載っていました。
自宅療養中、少し読み返してみたところです。
日本で読んだ開発系の本や、講義ノートなどをこっち
(現場)に来て改めて読むと、感じるものが大きく違います。
CBO、つまりここではPENCのことです。
タバスキのときに、PENC Medina Sabakhの
代表宅も訪ね、自然と、仕事の話に。
彼は先日、首都ダカールへ、稲作普及プロジェクトの
国際会議@高級ホテル、に出席していたようです。
援助側である、国際的な稲作普及組織が数団体と、
セネガルやマリやブルキナファソなど、
被援助側のプロジェクト代表者の集まる会議。
さっきまで、タンクトップと短パン姿で、羊を解体していた
兄ちゃん(Ousman Tour?氏・教師・35歳独身)が
そこに出席していたわけです。
思います。
PENCや、そこで地区リーダーを務めるこのOusman氏や、
Backa氏が居れば、特に予算も技術も器材も持たない
青年海外協力隊村落開発普及員は要らない、と。
開発事業のフィールドがローカルであればあるほど、その
アクターは我々外国人ではなく、CBOであるべきだ、と。
当たり前といえば当たり前なのですが、それを痛感します。
それを痛感できているというだけでも、
協力隊に来た甲斐があります。
そして改めて思うことは、専門的知識や技術力の必要性です。
正直、村落開発普及員に求められているような資質、たとえば、
コミュニケーション能力、問題解決能力、柔軟性・適応能力、
協調性を持った人材は既に、現地に居るわけです。
派遣前にあった、村落開発普及員対象の補完研修の講義で、
「特別な技能を持っていなくても大丈夫、心配しなくていい」
というような話を聞きましたが、そのときもなんとなく、
腑に落ちない感じがしていました。
どこか、胡散臭さというか、ごまかしというか。
やはり、外国人開発ワーカーには、
確固たる専門的知識や技術が要る。
事実、俺が今必死にやっていることは、養蜂の知識を
頭に詰め込んで、その専門性を高めることです。
そうしないと、養蜂をしたいという
農民の役には立たないからです。
専門性。
それが必要であることは大学生の頃から知っていましたし、
『国際協力ガイド』などにも散々、書いてあります。
しかしそのことを、ここに来て、改めて感じます。
それも、「環境」とか「住民組織化」とか「ジェンダー」とか
「開発人類学」いった、どこか、大学の授業の枠から出きって
いないような分野を極めるのではなくて、たとえば、「上水道
整備」とか「陸稲栽培」とか「母子保健」といった、もっと
個別具体的な分野を極めたいと思うようになりました。
そして、たとえば、上水道整備のプロジェクトに関わるときに、
環境やジェンダーや文化・宗教の知識、経験、センスを
持っているか否かというのもまた、重要な点だと思います。
技術一辺倒で失敗してきた開発事業も山ほどあるわけですから。
一応、誤解のないように書いておくと、村落隊員として
ここに来たことに悔やんでいるとか、行き詰っているとか、
悩んでいるわけではないですよ。
むしろ、現場の様子が見えて、頭の中が整理できつつあります。
そんなことを思う、自宅療養中の日々です。
派遣8ヶ月を過ぎた同期隊員の皆様へ、プレゼント。