村に出かける日と、出かけない日。
実は、出かけない日のほうが多いです。
ここ数日は、森林局に提出する10月の活動報告書や、
JICAに提出する2号報告書を書いたり、こういうのを
読み込んで、お勉強したりしていました。
ALAIN VAUTIER [1995]
“NOUVELLE VOIE D’INTRODUCTION DE
L’APICULTURE MODERNE EN AFRIQUE”
R?publique du S?n?gal
『アフリカにおける現代養蜂 新入門書』
入手元は、Ndiakh?ne村の村人。
ある海外の援助プロジェクトから、養蜂箱とこのマニュアルを
もらっていて、近々、採蜜をする予定の村です。
このマニュアル、全80ページ、フランス語で
書かれていて、村人には読めません。
「じゃぁ、俺が読んで、今度、返すときに解説するよ」
と言って、借りてきました。
しかしまぁ、俺も普段、フランス語を使うことはほとんどなく、
電子辞書片手に、解読するのに難儀します。
今まで、日本語、英語、フランス語と、いくつかの養蜂マニュアルを
読んではいますが、今回のマニュアルは実に、面白いです。
筆者が感情的と言うか、アフリカ人的で面白い。
・欧米人が持ち込んだ木製のラングストロース式養蜂箱。
あんな高価なもの、アフリカの農民に買えるわけがない!
・欧米人は理論ありき。しかし、俺らアフリカ人は実践ありきなんだ!
・欧米人の扱う蜂は、穏やかなヨーロッパ種。
俺らの扱うアフリカミツバチは、凶暴で、状況が違うんだよ!
第一、ヨーロッパ種より小さくて、防護服のちょっとした
隙間からでも入り込んで、刺しやがる!
・欧米には冬があって、蜂の越冬を考慮した養蜂箱を使っている。
冬のないアフリカで、この養蜂箱を導入する必要があるだろうか!?
・アフリカでは養蜂箱の盗難や破壊のリスクを考えないといけない。
良心のかけらもない、養蜂箱窃盗犯は
裁判にかけて、即、牢屋にぶち込むべきである!
こんな調子。
しかし、まぁ、しっかりしたマニュアルだと思います。
養蜂箱の設計図もついています。
筆者はアフリカの伝統的な養蜂から、批判しまくりの
欧米式養蜂まで、「実践」しているようです。
その結果、アフリカの気候、農民の経済状況、アフリカ
ミツバチの特性などに適した、彼流の養蜂箱は、セメント製。
これまで読んできたマニュアルは、木製養蜂箱に
ついてばかりだったのですが、確かに、セネガルでは
いくつか、セメント製養蜂箱を見かけています。
そして、村人曰く、「安い」と言うわけです。
一見、木の方が村で手に入って、お金がかからなさそう
ですが、加工して養蜂箱にまで仕上げる技術、道具は
村にはないので、木工屋に発注する必要があるのです。
一方、セメントは村で家を建てるときにも
使う素材で、案外、手に入りやすいようです。
セメント製養蜂箱は採蜜量も聞いたところ、少なくないです。
風による転倒、盗難、シロアリ、耐侯・耐腐食性を
考えても、セメント製は木製よりも良さそうだ、
とちょうど、思っていたところです。
しかし、セメント製は重くて盗難に遭いにくい反面、養蜂家も
それを移動するのが大変という難点があります。
しかし筆者は、
・欧米人は蜜源に合わせて養蜂箱を移動させるが、
アフリカの農民はそんなことはしない。
だから、重くて移動できないセメント製養蜂箱で、なんら、問題ない。
とおっしゃいます。
なるほど。
明日から泊りがけでNdiakh?ne、Kayemor、Ndiao Bambali、
Ndimb Taba、Padafなど、養蜂村をあちこち回ってきます。