昨日の夕方からは、メディナサバ村のAmat Seck氏を訪ねました。
彼は、ニオロ県内に過去、入っていたJICAのプロジェクト、
PRODEFIでanimateur(普及員)として、メディナサバ郡内の
プロジェクト対象村で各種研修を開いたり、活動していました。
彼を知る日本人からも「やり手だ」と聞いていますし、村人たちも
彼のことを「頭の回転がいい」、「インテリだ」と認めています。
彼との会話はたいてい、フランス語です。
その彼を訪ねたのは、
・なぜ、村人は安くユーカリ材を商人に売ってしまうのか
・村人のユーカリ材販売益をなんとか、増大できないか
ということを質問、相談するためです。
PRODEFI時代に、森林経営研修というものが行われ、そこで
ユーカリ材の都市部における市場価格の情報や、
伐採木そのままではなく、丸太にして販売すれば
高く売れる技術などが村人に与えられました。
PRODEFIの報告書ではその効果あって、村人が商人の言い値の
まま売らず、場合によっては「売らない」という選択をする
などして、高値で売ることに成功したと書かれています。
では、どんどん市場価格情報や、丸太製材技術の研修を広めれば
よいのではないか、とAmat氏に問うたところ、答えはNon。
なぜならば、商人は村人が雨季農業のために出費を
重ね、家計が火の車の状態になったのを見計らって、
買い付けに来るので、売り手である村人は廉価で
あろうと、言い値のまま売ってしまうとのこと。
(ちょうど一昨日もある村で買い付けが行われていました。)
村人が、「1本250fsは安すぎる、500fsにしてくれ」と言えば、商人は
「どこそこ村のなにがしさんは250fsで売ってくれたのになぁ。」と、
嘘だか本当だかわからない話を、金をちらつかせながら村人を揺さぶる。
村人が「しかし、250fsでは売らない。」と言おう
ものなら、商人は次の村に行くだけのこと。
雨季前から作物の販売までの間は村人にお金がないから、250fsで
交渉をさせてしまう村人が現れるのに、そう、時間と手間はかからない。
村人が単価の高い丸太で売ろうとしても、商人はそれを断るだけのこと。
市場価格や丸太製材技術があっても、安売りしてしまう…。
俺の配属先である森林局の関心事は植林という事業と、
伐採・輸送の許可であって、販売にはほとんど関心がないよう。
ただ、いくつかの苗畑のように、潅水や除草などの手入れ不足の
ために枯死する苗や、定植のタイミング、場所の選定がまずい
ために枯死する苗、伐採の道具や方法がまずかったり、芽かきが
されずにうまく萌芽更新できない成木といった問題についての、
積極的な技術的な指導・研修は森林局に期待できるのかもしれません。
ニオロ林産協同組合も、価格についてはノータッチ。
ニオロ地区で今より、売価をあげた場合に、買い手である
商人が他の地域にユーカリ材を求めて流れてしまわ
ないかと聞いてみたところ、おそらく、それはないとのこと。
・現状、ニオロ地区が他の地区よりも価格が安すぎる。
・ニオロ地区ほど多く、ユーカリ材を入手できる地域がない。
・建設足場としてのユーカリ材の需要は十分にある。
彼の考える解決案は、Kepal(各村にある、開発
住民会議)、PENC(Kepalの上部組織)を通して
ニオロ界隈のユーカリ販売額を統一すること。
しかし、誰か村人が抜け駆けして安売りすれば、それで終わり。
統一価格を守ろうとして販売機会を逸した村人が損をするだけです。
また、逆に、抜け駆けをして安売りをしたことがばれたら、その村人が
村の中や、他の村から総スカンを食らうということも考えられます。
それを恐れて、生活が困窮しているのに、ユーカリ材を
すぐに売れないという問題も発生するかもしれません。
ユーカリ材の安売りは植林の問題だけでなく、安売り
せざるを得ない村人の家計の問題も絡んでいます。
俺の職種は村落開発普及員(animateur des communaut?s rurales)。
正直、日本人にもセネガル人にも説明しにくい職種です。
「で、何やるの?」、って。
なんせ、専門的な技術を持ち合わせているわけではないので。
今でこそ、村人よりは養蜂に詳しいつもりですが。
そんな、私、日本人animateurに、
セネガル人のやり手animateurから言われた言葉。
「本当に難しい。時間もかかる。しかし、やってみる価値はある。
これができれば、お前はBon animateur(やり手の普及員)だ。」
と、同時に言われた言葉。
「もっと、フランス語を勉強しろ。」