BLOG

宿泊分析2021 Sales Analysis

おしごと Owner's Works

さてやってまいりました、ほぼ毎年恒例のゲストハウス若葉屋 宿泊分析です。

(ここでは件数、人数、売上などは絶対値ではなく、すべて「割合」で表示しております)

「いやあ、コロナで大変でしょう」と、いろいろなひとから心配していただいております。

まずいきなり、売上推移から見てみます。

2019年、2020年、2021年の比較です。

2019年は瀬戸内国際芸術祭があった年で、春会期、夏会期、秋会期と、売上のピークも3回ありました。

2019年の11月と12月の売上がぐんと下がっていますが、家族でマカオ、長男と桂林ひとりで南インドを旅していたときで、11月後半と12月前半は休業していたからです。

もうあれから2年間、海外へは行けていません。

その後2020年3月にははっきりとコロナの影響が出てきて、4月と5月は休業しました。

2020年6月から1日1組限定で営業を再開して、2021年3月予約受付分から、個室4部屋、1日最大4組での営業として今に至ります。

やはり2020年に比べれば、2021年は売上が回復気味です。

2020年から2021年にかけての売上推移を見ると、コロナの波が目で見えるようです。

2021年は開業以来初めて、12月が売上最大月となりました。

温泉街もカニもスキーもない高松では普通、こんなことはありません。

2019年は外国人客が36%だったのが、2021年はわずか5%。

それももちろん、訪日ではなく、日本在住の外国人です。

それでは、この売上の中身を見ていきましょう。

いつまた次の「波」が来るのかわからない中で、リードタイム(予約成立からチェックインまでの期間)にも変化があります。

2019年の予約件数のうちの4分の1、売上の4割を占めていた、リードタイム1ヶ月以上の予約は激減しています。

早くから予約受付を開始しても、大きな売上の向上は期待できません。

逆に、意外と変わっていなかったのが、リードタイム0〜3日の直前予約です。

「よし、今なら行けるぞ」と急に旅に出るケースが増えたかと思っていたのですが、件数も売上も、コロナ前後で変化はほぼありません。

では、予約経路には変化があったでしょうか。

予約件数、売上ともに最も変化したのは楽天トラベルの増加です。

やはり95%が日本人客になったので、日系OTAが有利となったのでしょうか。

いえ、同じ日系OTAでもじゃらんnetはほぼ変わらずです。

もともと、若葉屋では楽天トラベルの方がじゃらんnetよりもやや多かったものの、2021年は件数、売上ともに倍の差が出ています。

じゃらんnetでは若葉屋の予約が少なく、直近365日間のクチコミは1件しかなくて表示基準に達していないこともあってか、表示順位が低すぎるのかもしれません。

一方、外国人客がほぼいないにもかかわらず、オランダ発のOTA、Booking.comは件数、売上ともにわずか5%減に踏みとどまっているどころか、Booking.com1社で、楽天+じゃらんの2社分の予約を受けているぐらいです。

日本人客でもかなりの方がBooking.comを使うようになっています。

Booking.comはここ最近、独自の値下げをするようになっていて、且つ、Googleで宿泊施設を検索したときに各OTAでの価格が比較できるようになっています。

これで日本人の間でも、Booking.comが優勢になっているのでしょう。

ちなみに、Booking.comが値下げをしても、その原資はBooking.com負担なので宿泊施設に入ってくる売上は変わりません。

とはいえ、Booking.comへの高額な手数料支払が発生しているので、喜ぶべきことでもありません。

その点、若葉屋では直予約がよく死守してくれてはいますが、今後、方策を練らねばと思っています。

宿泊客の性別や年齢に変化はあったでしょうか。

2019年は男性55:女性45と、男性がやや多かったのは、若葉屋のドミトリー(2021年春からは個室のファミリールームに変更)が男女混合だったせいだと思っていたのですが、2021年の男女比もなんと、変わらず。

一方、年齢層は大きく変わりました。

10歳未満の子供の人泊数の割合が6%から15%へと、10ポイント近く上がっています。

2021から始めた宿泊客の属性を見ても、若葉屋の売上の約4割を家族客が占めます。

2019年の人泊数で見ると全体の62%を占めていたひとり旅は、ドミトリーを廃したせいもあってか、激減しています。

この現ファミリールームをいつ、ドミトリーに戻すのか、もしくは戻さないのかは国内旅行やインバウンドの回復を見ながらですが、悩むところです。

売上やオペレーションのことだけでなく、やはり、あの旅感満載の旅人たちを温かく迎えるゲストハウスであり続けたいとも思うのです。

さて、家族客の増加によって、駐車場の利用割合も顕著に増加しています。

2021年は宿泊客の約半数の方が、車で来ています。

主に公共交通機関で旅行をしていた訪日客がいなくなったことも、影響しているでしょう。

コロナ禍以降にリニューアルした若葉屋の公式サイトや各OTAサイトで、ゲストハウスに泊まったことがない方でも安心して泊まれること、子ども連れファミリー歓迎、無料駐車場完備などを積極的にアピールするようにしたので、これらが功を奏しているのかもしれません。

次に、日本国内のどこから来ているのか。

圧倒的に増えたのは近畿と四国です。

特に四国内での旅行、帰省のための宿泊が多かった印象があります。

このコロナ禍は、北海道、沖縄、首都圏、関西といった定番観光地ではない、近場での観光が見直されるきっかけにもなっています。

修学旅行ではその傾向が特に強くなっているようで、悪くない話です。

ひとり旅が減って、家族客が増えたことで、ツイン和室の売上割合が増えました。

畳に布団で寝られるので、小さいお子さん連れのご家族に人気です。

一方、ドミトリーをファミリールームとしたものの、定員8人の二段ベッドの個室という特殊な部屋ということもあり、売上割合は10ポイント以上の減少に。

しかし、2019年の旧ドミトリー稼働率(在庫8床で計算)は49%で売上割合が43%なのに対して、2021年の現ファミリールーム稼働率(在庫1室で計算)はわずか17%で売上割合が31%。

ファミリールームは個室化して単価を上げたことで、稼働率は低いものの、売上では健闘しています。

4人以上の若者グループや、中高生以上のお子さん連れご家族、3世代ご家族での利用など、これまでの若葉屋ではあまりなかった層のニーズに応えられるようになっています。

 

以上がゲストハウス若葉屋の2021年宿泊分析です。

いかがでしたでしょうか。

コロナ禍がやってきて、こうやって数字を見ても分かるとおり、若葉屋は変化の波の中にいます。

しかし、2020年も2021年もコロナ禍なんかなくて、相変わらずインバウンドが右肩上がりの日常が続いていればそれでよかったのか、本当にあのまま走り続けているのがよかったのかといえば、あながちそうとも言えないように思います。

コロナ禍がなければ気づかなかったこと、やらなかったこと、変われなかったこともあるのです。

なんなら、コロナ禍が改めて商いのおもしろみを教えてくれているようにすら感じます。

我ら事業主に幸あれ!

関連記事